2010年6月21日月曜日

いとかわと糸川博士

無事地球帰還の宇宙飛行士野口聡一さんは地上を歩くことができませんでした。159日間の宇宙滞在は長すぎたようです。宇宙船体内での筋トレの効果は無かったのでしょうか。まさか、さぼっていたのでは?いえ、いえ、そんなことはありません。宇宙には重力がないからです。地球にいる人間は生まれてこのかた徳川家康ではありませんが重力という重荷を全身に受けて生きているのです。地上の重力に匹敵する負荷をかけるなら「巨人の星」の星飛雄馬みたいに24時間全身をゴムバンドでぐるぐる巻きにしなくてはいけなかったかもしれません。
亡くなる一年前でしたが、日本のロケット開発のパイオニア糸川英夫博士、そうです「はやぶさ」が7年もかけて行ってきた小惑星「いとかわ」のゆかりのあの先生です。先生は耳を疑うようなことをおしゃいました。「宇宙開発はやめなさい。まだ海洋開発の方がよい。暮らすのだって海の中に家をつくれば一年じゅう温度が一定で快適だし、東京湾の海中には充分なスペースがある」さらに先生は身振りをまじえて「そもそも無重力の宇宙船内でどうやってSEXをするのじゃ。押したら相手は壁まで飛ばされるだけだ。こどもをつくれなければ人類は滅亡するぞ」先生のご高説は置いておいて。
ともかく米国とロシアは宇宙開発競争から引きつつあります。閉所恐怖症を起こしそうな狭いカプセルから地上から成層圏に飛んでくる大陸間弾道弾を監視してあわよくば打ち落とそういう物騒なプロジェクトは冷戦の終了とともに必要が無くなりました。事業仕分けではありませんが、宇宙開発から軍事目的を引き算したらいったい何が残るのでしょうか。納税者である国民に分かるように説明して欲しいものです。参考に月面着陸に成功したアポロ11号のアームストロング船長のことば、「この一歩は小さいが人類にとって偉大な一歩である。そして米国のタックスペイヤー(納税者)にとっても偉大な第一歩である」日本では最後のフレーズはなぜか省略されてしまうが、どうか、くれぐれもアームストロングのように納税者ことをお忘れないように。

2010年6月9日水曜日

ツバルの海面上昇の今は?

「過去60年間に撮影された航空写真と高解像度の衛星写真を使い、ツバルやキリバスなど太平洋諸島の27島の陸地表面の変化を調査した。その結果、海面は60年前よりも12センチ上昇しているにもかかわらず、表面積が縮小しているのは4島のみ。23島は同じか逆に面積が拡大していることが明らかになった。ツバルでは九つの島のうち7島が3%以上拡大し、うち1島は約30%大きくなったという」と英国科学誌「ニューサイエンティスト」は報じた。自然の回復力の頼もしさを見る思いだ。われわれ日本人はこの結末と同じ自然の営みを列島2万年の歴史の中で経験してきた。風水害や海岸浸食で壊されるとたちまち自然がそれを修復した。神がいるかのようにである。丸山真男が「歴史意識の古層」でいう「不断に成りゆく世界」が日本人の意識のもっとも古い意識にある。そして、ひとも生(な)るのだと思われていた。ひとは地から生える草、民草と呼ばれた。旧約聖書「創世記」の唯一絶対の創造神が列島にはいなかったので長い間日本人は自然と共生できた。さて「ツバル海面上昇」の今後はどうなるのか?ツバルの人たちの生活は?海面上昇に伴う地下水の塩水化は止められるか?当面の危機は自然の力で回避されたが。まだまだ危機はつづく。

2010年6月3日木曜日

この10年間で、1回の充電で1000㎞走行できる「リチウム空気電池車」は衝撃的な変化を先ず自動車工業に与えるだろう。これでやっと電気自動車時代の到来となった。オバマの環境政策《スマートグリッド構想》は電気自動車が中核技術になっている。しかも振動、騒音、CO2、排ガスのない都市は生活者にとってウエルカムである。しかし悩ましいことがある。現在、石油資源の約50%を消費している自動車を電気エネルギーに代替するには膨大な量の発電が必要なのだ。そこでスリーマイル島の事故以来建設を停止していた原発の建設が米国で解禁された。
 一方わが国は違った意味で原発建設のニーズが高まっている。昼夜間の消費電力の差を解消する方策ができた。つまり原発建設を制約していた揚水式ダムの建設が必要なくなるのだ(例えば利根川水系の上流部は揚水式ダムを建設できる余地は全くない)。分かりやすいように表現するが、電気自動車を原発で生まれた余剰電力の捨て場にできる。だから今後、電気自動車の普及と同時進行で原発が国内で次々と建設されるだろう。日米の民主党とも内部に原発反対派がいるにも関わらず「原発推進派」であることの意味をわたしたちは肝に銘じるべきだ。