2010年7月8日木曜日

クロマグロの危機

「大西洋クロマグロを、壊滅的に減らした一番の要因は、産卵場での巻き網操業である。産卵場で産卵群を巻き網で一網打尽にする破滅的な漁法が日本でも2004年から開始され、日本海のクロマグロ産卵群が激減している。実は、日本のクロマグロは、タイセイヨウクロマグロと同様に、危機的状況にあるのだ」と、鳥取県境港市の漁師、勝川俊男氏はブログで訴えている。現場の漁師が身近に感じているようにクロマグロ資源の枯渇は著しい。大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」が前年比40%減の漁獲割当を決定したが「カツオを含む主要マグロ類の資源回復には到底達しない」(小松正之、元水産庁漁業交渉菅、政策研究大学院大学教授)、状況にはやりきれない思いがする。
以前は、マグロ漁業の主流は延縄漁法でマグロを釣り上げていた。しかし80年代からはえ縄漁法の20~30倍の漁獲能力のある巻き網漁法が欧米を中心に導入されるようになった。結果ははえ縄と他の漁法の漁獲量は横ばいだが一網打尽で大量漁獲する巻き網は50万tから270万tへと5倍に増えた。さらに養殖用の稚魚を獲るために、ブログにあるように産卵場で巻き網操業をした。ここで大きく間違えたのだ。産卵群を巻き網で獲るとは、賢明な日本の漁師のやるべきことではない。何に血迷ったのか。自分で自分の首を絞めたとしか思えない。確かに、クロマグロは一回の産卵で一千数百万個の卵を産むが数は無限ではない。卵を獲りつくせば成魚の数がどうなるかは言わずもがなだ。中西部太平洋のクロマグロはこの50年間で3分の1になった。もっと心配なことは、日本海域の産卵場の巻き網が2004年から始まったことだ。卵は無い。深刻な資源枯渇の事態もこれからは覚悟しなくてはならないだろう。養殖に卵が必要なのは言うまでもない。

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